おもしろい撮影があった日は撮影舞台裏について書いたり、これまでの作品を紹介したり、ちょっと試しに撮った写真をチラ見せしたり、これからもっといい写真を撮るために考えをまとめてみたり、などなど。
2013年8月19日月曜日
スナップ写真とトラブル
実は、スナップ写真は、昨今の権利主張の風潮から、衰退の危機にあると思うのです。
昔はもっと町中でカメラぶら下げて写真を撮ってた人が多かったような気もするのです。
最初に僕の考えをまとめると、スナップ写真のセーフゾーンというものは、社会通念や慣習といった曖昧なもの次第なので、できるだけ表現の自由を守るため、枠を拡げる方向で意見を述べていきたい、というものです。だからといって、自主規制して、無難な写真しか撮らないなら、そんなつまんないものはありません。撮りたい写真を、気兼ねなく撮れるようにしたいですね。ちなみに、肖像権って、よく聞くのですが、六法全書のどこにも記載されてませんので、法律用語ではありません。慣例上でしか定義できないのです。つまり、どういう慣例を作って行くかは、僕たち次第なんです。
数ある撮影ジャンルの中でも、とくにスナップ撮影はトラブルが発生しやすいです。撮影許可のとりようがないですからね。にもかかわらず、スナップ写真が法的に問題ない理由として、街中の監視カメラがあるんだから、群衆の撮影くらい問題ないでしょって意見を聞いたこともあるのですが、「公権力が『正当な理由無く』個人を撮影してはならない」とする最高裁の判例も存在します。社会通念に照らして相当と認められる方法でなら問題ないという主旨の但し書きつきです。ということは、スナップ写真に関しても、社会通念次第ってことになるのでしょうね。逆に、監視カメラの方が、犯罪抑止力や捜査上の必要性があるから容認されていると解釈すれば、スナップ写真には、そのようなものはありませんから、全面禁止の可能性もあります。
昨今の権利主張の風潮を考えると、スナップ写真は難しい、という現実はわかります。だからかどうか、私が学生時代には、都内でも、歩いてたら、スナップカメラマンがもっと大勢いたような記憶ですが、最近はほとんどみかけなくなったのではないでしょうか?また撮影した写真もおとなしくなってるような気がします。単なるお散歩写真になってるというか・・。挑発的なスナップ写真って魅力的だと思うのです。以前、UPLINKで、写真一夜という写真のプレゼンイベントを主宰してたこともあって、多くのカメラマンの作品を拝見する機会に恵まれましたが、そんな挑発的!といえるスナップ写真を撮ってたのは1人だけでした。深夜の歌舞伎町で毎晩のように行われる?流血喧嘩シーンを激写してたものです。(結局、写真一夜では都合が合わず発表してもらえなかったんですけども・・)
撮影したとしても、発表できなければ、撮影しても仕方がないのですが、民主主義の根本原則として、表現の自由は、常に何ごとよりも優先されるという考え方があります。それでも発表に際し注意した方がいいケースがいくつかありますので、スナップ写真の具体例を挙げながら箇条書きしてみます。
①群衆の中に、たまたま芸能人が写ってた場合。肖像財産権の侵害にあたります。ただし、社会的反響が大きい事案の場合は、当該肖像権よりも、公に報道することの方が優越的利益があると判断されます。無名の一般人だとしても、容姿が特定できる至近距離の写真を広告物に使用した場合、肖像財産権の侵害が認められた判例もあったような気がします。個人的には、一企業の利益を目的とした広告物ではNGですが、写真家の表現の場合は許容されるべきと考えてます。
②パンチラ写真とかの盗撮。これは、迷惑防止条例に違反扱いです。つまり、通常のスナップ撮影じゃないってことです。
③盗撮に近いスナップ。例えばラブホテルに入ろうとする瞬間などは、さすがに、社会通念上、プライバシーの侵害とされるでしょうね。その一方で、ロベールドアノーの名作、パリ市庁舎前のキスなんかは、素晴らしいわけで、ラブホテルにひっそりと入る瞬間はひっそりとしてるけど、パリ市庁舎前なんかだと、たまたま写真に撮られたけど、撮られなかったとしても、不特定多数の人に見られてるわけで、プライバシー主張するなら、そんなとこでキスするな、という考え方になるのではないでしょうか。
④建築物のみ撮影した場合は、建築物の著作権を主張されるケースがあります。
ただし、これも、広告などの一企業の営利目的の場合はNGですが、写真家の作品の場合は、問題ないでしょう。文化財保護法でも、たしか、公道からの撮影は、問題なかったはずです。その一方で、町並み、というものに、権利などあるはずはなく、建築物が、3つ、画面の中に入った場合は、建築物ではなく、町並みの写真という扱いに、慣例上なるようですね。
まとめると、広告などの営利目的の場合は、慎重に考慮すべきだが、作品としての発表目的の場合は、基本的に、表現の自由が優先される。ただし、パンチラなどの迷惑行為に該当する盗撮はNG。ってことですが、結局、迷惑行為の定義が、社会通念や慣習といった曖昧なものなので、スナップ写真の許される表現の範囲内ってのは、ぼくら次第で、いい写真を撮ってけば、理解も得られるってことなんでしょう。
公式サイト→http://www.yoneharakeitaro.com/
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