おもしろい撮影があった日は撮影舞台裏について書いたり、これまでの作品を紹介したり、ちょっと試しに撮った写真をチラ見せしたり、これからもっといい写真を撮るために考えをまとめてみたり、などなど。
2012年12月4日火曜日
【作品制作の裏側】ジャスパー・ジョーンズとエンカウスティークとロバート・ラウシェンバーグと僕の作品のニス塗り仕上げの意外な???
写真なんだし、インクジェットなんだし、出力したまんまでいいんじゃないの? ってことなんだけど、なんか違う。最終的に納得できる仕上げ方というものに出会うまで、暗中模索が続いた。 結果的に編み出したのが、マット系用紙にインクジェット出力し、アクリル絵の具で縁を塗り、時には縁をぼかすかのように表面の一部を塗り、あるいは、薄く画面を覆うかのようにし、その上に、アクリルニスとウレタンニスで塗装する、という手法だ。 頼まれて、他の人の作品を同じ手法で仕上げを手伝ったこともあったが、うまくいかない。だって、ヨネハラオリジナルなんだもん。僕の作風にあってるだけのことで、汎用性はない。 ニスを二重に塗るのは、製造者責任として、保存性を頑丈なものにするためだけではない。マット紙ゆえの黒の締まらないさを締め、色合いをより鮮やかにするためだ、と自分でも思っていた。 思っていたと過去形で書くのは、それだけじゃないかもって思ったからだ。 こないだ友人と、終電まであーだこーだといろんな話をしてて、米原がもっとも影響を受けた芸術家は誰だ?!って話になった。 僕自身は、自分でいうのもなんだが、謙虚な性格なので、わりと幅広く、吸収することをのぞんでやってきた。もっとも吸収したのは、誰とも違うオリジナルを追求する精神やけどね。 そんなこんなで話してるうちに、ジャスパー・ジョーンズって名前が出て来た。たしかに、標的とその上に石膏のオブジェが並ぶ、あの作品は、常に頭の中にある芸術作品のひとつであり続けている。 で、帰宅してから、あらためて、ジャスパー・ジョーンズについて調べてみたんだけど、なにが驚いたって、まだご健在ってことですよね。生きる歴史か?!ってかんじ。というか、もともと、アメリカ現代美術ってことで、一応は同時代ってことになるのかなあ。正直、多摩美卒業後は、あんまここらへんの情報はインプットせずにきた。恥ずかしながら、ロバート・ラウシェンバーグ とごっちゃにしてたね。とくに、タイヤとやぎの剥製の作品とかと・・。 ネオダダとよばれ、ひとくくりにされるこのお二人さんの活躍した時代は、1960年前後ってことになるのかな?!アート業界以外の知識や情報を得た今の僕からみると、いわゆる古き良きアメリカってことになるんやろか?! 時代背景から考えると随分なアンチテーゼだね。学生時代には社会背景まで目がいかなかったね〜。 で、仕上げ方法の話をしてて、いきなりジャスパー・ジョーンズなのだけど、ジャスパー・ジョーンズの絵画技法と、似ている、つまりは意識していたのかもってことに気づかされたからだ。 ジャスパー・ジョーンズは、エンカウスティークと呼ばれる技法、蜜蝋で顔料を定着させる方法を用いていた。僕の仕上げ方法でいうと、ニスを塗るだけなら、もっと均一に塗る方法もある。しかし、なぜそれをせず、手の痕跡を、残すのかというと、ここの影響かなあ、と。ニスでインクジェットの顔料を封じこめている様は、蜜蝋で絵の具の顔料を封じこめてるのに、そっくりじゃないか、と。 微妙にできる凸凹が、視覚の奥行きを産み、物質としての存在感を作るんやな。 僕が歴史を振り返り、考えるに際し、大切なのは、先人の偉業をいかに、踏み台にするかってこと。実際には、ジャスパー・ジョーンズとラウシェンバーグは仲良しさんだってみたいで、切り離して考えるのもナンセンスだと思うし、二人いっしょに考えても大きな問題ではないだろう。 あとはまあ、無理矢理だけど、ジャスパー・ジョーンズの星条旗の作品のように、すでに一般的に流布してるイメージをシンプルにドーンと出す作品が僕にもある。例えば、タロットシリーズの太陽とか。 ま、作品の画面の上にあるのはイリュージョンにすぎない、そこには、絵の具という素材しかない、とかって屁理屈みたいな話はこの次の次の次くらいにでも覚えてたらする。 それより、ラウシェンバーグのオブジェ作品群が、どうにも興味深い。 結局、僕の作品は写真なんだから、どっかしらで、リアルを取り入れている。 ラウシェンバーグが、ゴミ箱から拾って来たゴミをアート作品にしているのも、通常の彫塑材料だとイリュージョンを生み出しがちなのに対し、リアルを持ち込みたかったからじゃないだろうか。 ここらへん、もうちょい探求してみっか。もともとアートフリークなわけで、こういうのを調べたりするのは楽しくって仕方がない。 ま、ファン視点で楽しむのもほどほどにしつつ、僕個人の作品に翻ると、ここらへんに、タロットシリーズの次のなにか、ってもののヒントがあるような気がしている。
米原敬太郎公式サイト→http://www.yoneharakeitaro.com/
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