2013年10月6日日曜日

ちらみせTAROTと僕のカメラのお話


 昨日は、僕のライフワークであるTAROTシリーズの撮影で、舞踏家の吉本大輔さんの稽古場に突撃して撮影させていただきました。

ちらみせしてみます。タロットシリーズの撮影計画で、今年撮るぞ!と決めた分は残り3点になりました。なんとか今月中に撮って、冬のうちに仕上げていきたいと思ってます。

あまり機材に関して話す趣味はないのですが、撮影時に質問もあったので、ちょっとお話してみます。木製の蛇腹がついた時代がかったカメラを使ってるんですよ。そら、気になるってもんです。

今のメイン機種は、就職して半年後、地道にためた薄給で、大阪のOSカメラに、会社の昼休みに地下鉄乗って買いに行きました。このカメラは、アマチュアの人はいくら金を積んでも買えなかったそうですね。(今はそんなことないと思いますが)買う時に、プロですか?アマチュア の方には売るなっていわれてるんです。理由は、供給量が追いつかないから、というんで、名刺見せてカメラ買いました。数ヶ月後、東京出張で恵比寿の道ばたでロケ撮影してたら、金持ちそうな人が、リンホフ(金持ちカメラ)を使ってる、あんたが使ってるのを買いたかったけど、売ってくれなかったとこぼしてました。
とくに壊れるような要素はないんで、仮にあと40年生きるとしても、死ぬまで使えそうです。ある大先輩のエピソードで、ジナーC型という1960年代のカメラを、当時からもう50年使ってる方がいて、そこのアシスタントさんにいわせると、先生しかピントを合わせることができない。なぜなら、ネジを締めるとがたつくんだけど、がたつきを含めて操作するから、先生しか使えないんだとか・・・。体の一部になるってのはそういうことなんでしょうね。僕のエボニーもそれを目指してます。実は地元板橋区の東武東上線大山駅の裏に工場があるのですが、ネジをなくして、2回ほどお邪魔したことがあります。まだ使い始めて10数年ですが、ああ、かなりきてますね〜といいながら、ちょっとネジを調整して、ロウをさしてくれましたら、急に、動きがスムーズになりました。お金は一切受け取ろうとしなかったですね・・。

使ったレンズは、ニッコールの大判レンズですが、実は旧型です。80年代、まだエコという意識が希薄だった時代の、鉛ガラスを使ったレンズですね。新型よりも、環境に悪い分、透明度にすぐれているのか、気持ち的に、写真にすっ入り込めるような感覚があります。

昨日撮影した枚数は、露出チェック用のインスタントフィルム1枚と、ポジ6枚のみです。シャッターを切った回数も、ライトの接続チェック3回、露出チェック5回の14回だけですね。

シャッターに関する考え方は、一撃必殺です。シティーハンターだかゴルゴ13だかのエピソードで、老練のスナイパーと、新進気鋭の若手スナイパーの対決で、老練のスナイパーが勝つのですが、なぜあなたに勝てないのかという若手スナイパーの質問に、こう答えてます。わしの銃は1発しかうてないが、おまえさんのは、連発式だ、その1発の重みが勝敗の境目なんだと。そういう意味では6シャッターきってるので、まだまだ修行が足りませんね^^

できるだけ、撮影枚数を減らし、その分、重みを増やすのが、いい写真を撮るコツだと思ってます。そしてそれは、かつて広告写真全盛期だった時代の、セオリーだったとも思うんです。いまよりもっとおもしろい写真が街にあふれてた時代の。

例えば、たくさん撮ってあとから選ぶという考え方もあるのですが、もちろん、そういう撮り方がいいケースも多く、僕もそうすることも多いのですが、実はそれって、ディレクションが甘いだけなんですよね。顔が、右向きか左向きかとか、そんなの、撮影前に考えてないから両方とってあとから選ぶんです。必然性というものがあって、どっちかである必然性、あるいは、どっちがいいのかあらかじめ考えて活論だしておけば、撮影後に選ぶ=考える必要がないんです。そして、撮影前に、それだけ考え尽くしておけば、それ以外の可能性も検討材料にできますから、なにも考えずにあとから選ぶ方式に比べ、より精度が高まります。そして、そういう撮り方をするためのカメラが、大判カメラなんでしょうね。

そして、前にも書きましたが、ポスターサイズになると、デジカメより数値主義的に確実に大判カメラの方が有利です。そのことはみんなわかってるはず。なのになぜしないのかというと、デジタルカメラを使った撮影方法じゃなきゃだめ、って思い込んでるだけなんですよね。みんなと同じじゃなきゃ不安って症状です。

僕は、作品撮影では、大判を使います。理由は、クォリティが高いから。シャッターをきる枚数も少なくすみので、時間がかからないから。そしてたかがフィルム数枚分の経費なんて安いから。数字で考えれば考えるほど、中判デジタルを使うより、コスト、速度、クォリティとも、有利だからです。たぶん、大判から中判デジにみんなが移行した理由は、メーカーの広告のせいなんでしょうね。みんなが大判を使い続けてると、新しいカメラが売れないからwww

だから、広告写真の現場でも、すすめるべきケースの時は大判をすすめていくことにしてみます。うざがられるんでしてこなかったけど、する方がいいことはちゃんとすすめようと思います。

米原敬太郎公式サイト→http://www.yoneharakeitaro.com/


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