2013年1月21日月曜日

これからの広告写真の現場がどのように変化していくか?

CP+でキヤノンが発表するカメラ「EOS1DSC」

FBでちょっと盛り上がったので、ブログにも転載してみます。
キヤノンから送られて来た案内状には以下のように書いてあります。
☆4K=約800万画素の静止画切り出しが可能。
(約800万画素で秒館24コマ(24P撮影時)の撮影が可能。
ミラーアップするため極めて静穏での撮影を実現)
☆35mmフルサイズ、大型CMOSセンサーを搭載
... ☆常用ISO感度25600の好感度性能
☆外部ストレージ不要の4K動画記録
☆広ダイナミックレンジで記録できるCanon Logを採用
☆他、EOS-1DXと同様の生死が撮影機能を搭載。
今までの静止画撮影カメラと共通する所は一番下の行「☆他、EOS-1DXと同様の生死が撮影機能を搭載。」だけであり、後は動画撮影についてずら〜っと書かれてる。

これのなにが革命的かというと、端的にいうと、新しく『動画から十分実用に耐えられるレベルの静止画を切り出すカメラ』ということであり、それがきっかけで起りうる撮影現場の変化だ。つまり「一瞬にかけて撮る」という撮り方自体が古典技法になってしまい、広告などの現場では、シャッターチャンスでさえも、カメラマンがコントロールしなくなり、オペレーターに成り下がる危険性があるかもしれない。
たかだか800万画素だろwというなかれ、REDからさらに画素数の大きいカメラも出るし、正直、時間の問題だ。今後5年で他のメーカーも追従するだろうし、特に広告やファッションなどを中心とした写真業界や報道が変わるだろう。90年代後半の版下屋さんがかぶってみえる。

一方で、成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか 一枚の写真が企業の運命を決めるという話もある。事実、今、右肩上がりの中国では、80年代の日本なみに、広告写真にお金をかけている。このふたつは相反していながら、絡まり合ってるような気がする。

広告業界で、従来の広告写真というものは、引き潮になるかもしれないが、引き潮があるってことは、満ち潮もあるってことですからね。どっちの潮流に乗るかという問題でもある。

最新機能を追いかけるのもひとつのスタイルだが、あえて、一瞬にこだわる古典技法というのもひとつのスタイルになってくるだろう。

いずれにせよ、5年後に答えが出るんだろうけど、逆に、5年前って、プロラボがちょうど激減しはじめた時期でもあり、過去5年の変化は激しかったがゆえに、これからの5年での変化も同じく激しいだろう。デジタルは便利だけど、やっぱり、色はフィルムにはかなわないね、って言ってた人をよそに、いったいどれだけフィルムや印画紙が無くなったことか・・・・同じように「一瞬」はPCで選ぶからって言われかねない。

僕が就職した直後の時代って、デジタルかアナログっていうと、版下のことだったんですよね〜 デジカメを実用してた人は皆無でした。それって、たかだか10数年前。5年かどうかはともかく、15年もすれば、仕事の方法は根本的に変わることはすでに経験済みでもある。

カメラマンは、クリエイターではなく、オペレーターに、ますますなってくだろうし、すでに、物撮りなんかは正にファクトリーの製造工場状態だ。クリエイター/オペレーター論は、割り切りが必要で、しかも両方やるのが正解かもしれないけども。

しかし、新年あけてから、雑談を交わす機会もちらほらとあったのだが、ほんとに、広告クリエイティブに希望を抱くことはできないという意見が、表面化しつつあるようだ。すごい嫌ないい方をすると、広告写真家は、オリジナリティを必要とされていない。だからもしも、写真潮流でなにかイベントをするなら、逆に、もう一度、『広告写真で、なにかできるか? 異才写真家を集めてみました』って、ことくらいしか思い浮かばない。カメラマンサミットの頃は、普通がいいんだよ、仕事が来るんだよっていってた人も多かったのだけど、もう技術がここまできたら、普通じゃ消えます。「普通がいいんだよ、仕事が来るんだよ」ってのはシャッターマンでカメラマンじゃないし、それに流されて来た結果が今なんだろう。。ぼくらは、好かれようとなんだろうと我々は「撮りたいなら創れ」でイクしかない。

しかし、ムービーがスチールを包括する技術革新に、話を戻して考えてみると、写真と映像との選択は僕個人の歴史でも、学生時代からあったし、70年代には8mmフィルムも一般化してた。映像ではなく、写真を選んだ理由だったり、選ばれた理由は、写真は、一瞬で判断できること。映像は、いくら短くても、全部見ないと伝わらない。でも、写真は一瞬で伝わることに、写真の『パチリ』の優位性はゆるがない。これは制作時ではなく観賞時の話ですけどね。

だけど、制作時の話でいうと、ムービーからの切り出しで、パチリがない方が、一瞬をつかめる合理性はある。でもまあ、CGの時代だから、複数の写真から、いいとこどりしてCGを作ってることを考えると、実際の作業は、劇的な変化は、あまり変わらないのかなあにしても、カメラマンはシャッターマンではなく、ライトマンになってくんかなあ。

しかし、写真潮流として、推して行きたいカメラマン像ってのは、制作チームの1パーツではなく、全体を包括し、少なくとも写真表現に責任と権限をもって、シャッターをきるカメラマンなわけだ。

写真の仕事にしても表現にしてもいろいろある中で、ここ10年、そしてこれからの5年で、もっとも変化が劇的なのは広告カメラマンだろう。報道はもっと前からムービーが主役だからね。

今、一番変化が激しい、潮流の中でもがいてる広告写真にスポットをあてて、なんかイベントを企画してもいいのかもしれない。

僕個人の歩もうかなと考えてる道としては、
人間とかの一瞬の緊張感を撮ることを前提にすると、むしろフィルム回帰で、撮影枚数を減らすのも、ひとつの正しいアプローチだと僕は思う。「緊張感が違う」ってやつだ。今以上に作家主義を押し出してくことになるのだろうね。

公式サイト→http://www.yoneharakeitaro.com/

0 件のコメント:

コメントを投稿